日産はホンダの次のパートナー探る、リストラ策も強化へ-関係者

ホンダとの共同持ち株会社計画が破談となる見通しが報じられている日産自動車は、次の協業相手を探っている。また自社の業績改善に向け、並行して進めてきたリストラ策も従来より厳しい内容にさせる方向で調整している。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。

関係者らによると、自動車業界の競争が激化する中、他の協業先の検討にも着手した。具体的な話はまだないが、日産にとって最も重要な市場である米国や自動車にとっても重要性を増している情報通信(IT)関連の分野の企業などは有力な候補になり得るという。

日産は大株主である仏ルノーと長くアライアンス(企業連合)を組み、調達や開発など幅広い領域で協業を進めることでスケールメリットを確保し、競争力を高めてきた。カルロス・ゴーン元会長の逮捕で関係が変化、23年2月に資本関係見直しで合意した。自動運転やソフトウエアなど新技術やコスト競争力がある中国勢の台頭などで自動車業界の競争は激化。日産に残された時間は少なく、パートナー選びの成否に生き残りがかかる。

一方でホンダとの協議破談で再建は正念場を迎える。日産は、昨年11月に世界の自動車生産能力の2割、9000人の人員削減などを柱とするリストラを公表し、具体的な内容を詰めてきた。関係者らによると現時点でのリストラ策では不十分で公表に向けて強化を図るという。工場閉鎖が必要になるかなどは不明だが、13日の10-12月期(第3四半期)決算発表までに公表できるよう目指していると、関係者の1人は述べた。

1月下旬の時点では当初の工場閉鎖は伴わず、生産能力の削減は生産ラインの統廃合などで対応するとしていた。

報道を受けて、日産の株価は午後の取引で上げ幅を拡大。一時前日比8.7%高の420.6円と昨年12月25日以来の日中上昇率となった。終値は415.1円だった。ホンダ株は6日の取引開始から前日比下落となっており、一時4.8%安の1428.5円を付けた。

日産広報担当の永井志朗氏は報道へのコメントは控えるとした上で、ホンダとの共同持ち株会社に関しては2月中旬をめどに正式発表すると従来の見解を繰り返した。

関係者の1人によると、日産は5日午後に取締役会を開き、ホンダとの持ち株会社設立に関する交渉を打ち切る方針を確認した。出資比率で折り合いがつかなかったほか、日産の株式を取得して子会社化するホンダからの提案も受け入れられなかったといい、13日に開く次の取締役会で正式に決める。日産の内田誠社長がホンダの三部敏宏に統合協議打ち切りの意向を伝えたと、6日午前に朝日新聞が報じた。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは日産が直面している最大の課題は資金繰りで、新しいパートナーは資金力に余裕がありフレッシュマネーを入れてくれる相手が望ましいと指摘する。車の開発や製造にはノウハウと人材が必要で、会社ごと買えばその手間が省けるため、ビッグテックで自社の技術を車に搭載する野心を持つ会社であれば、日産に興味を示す可能性があるかもしれないと述べた。

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