アメリカの下院議員らが2025年2月6日に、中国のチャットボットアプリである「DeepSeek」を政府の機器にインストールすることを禁止する法案「政府デバイスでのDeepSeek禁止法案」を提出しました。 RELEASE: Gottheimer, LaHood Introduce New Bipartisan Legislation to Protect Americans from DeepSeek – Josh Gottheimer https://gottheimer.house.gov/posts/release-gottheimer-lahood-introduce-new-bipartisan-legislation-to-protect-americans-from-deepseek LaHood, Gottheimer Introduce Legislation to Counter CCP’s DeepSeek AI Software | News | Congressman Darin LaHood https://lahood.house.gov/news?id=DF5C7AD2-F346-4994-B89D-BEC8BFF4A5EE Exclusive | Lawmakers Push to Ban DeepSeek App From U.S. Government Devices – WSJ https://www.wsj.com/tech/ai/lawmakers-push-to-ban-deepseek-app-from-u-s-government-devices-6a76151a 今回、政府機関のデバイスにDeepSeekをインストールすることを禁止する法案を提案したのは共和党のダリン・ラフード議員と、民主党のジョシュ・ゴットハイマー議員です。ラフード議員は、下院に設置された「アメリカと中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」のメンバーでもあります。 DeepSeekは、OpenAIより低コストで同等の性能を持つモデルを開発したことで話題になった中国の新興AI企業で、同社のアプリは一時アプリストアのランキングでChatGPTを下して首位になるなど人気を集めました。しかし、その後データ漏えいリスクが浮き彫りになり、多数の企業やアメリカ軍がDeepSeekの使用禁止を打ち出したほか、DeepSeekを含む中国のAI企業との取引を全面的に禁止する法律も提出されています。 アメリカの上院議員が「DeepSeek禁止法」を計画、中国とのAIの輸出入を規制する新法が提出される – GIGAZINE
by Tim Reckmann ゴットハイマー議員は、DeepSeekのコードから同社と中国共産党との直接的な関わりが明らかになったことや、中国人民解放軍との関わりが強いチャイナ・モバイルにデータを送信する機能が意図的に隠されていた点などを指摘した上で、「敵がアメリカ政府から情報を得るのを防ぐために直ちに取るべき行動という意味で、これは当然のことでしょう」とコメントしました。 また、ラフード議員は「中国共産党との技術競争でアメリカが負けるわけにはいきません。中国共産党系の企業であるDeepSeekがアメリカに及ぼす国家安全保障上の脅威は憂慮すべきものです。DeepSeekの生成AIプログラムはアメリカ人ユーザーのデータを取得し、それを何に使うかもわかっていない目的で中国共産党が利用するために保管します。いかなる状況においても、中国共産党の企業が機密性の高い政府データや個人データを入手することを容認することはできません」と述べました。 既に複数の国が政府関係者によるDeepSeekの使用を制限する措置に踏み切っており、オーストラリアは2025年2月4日にセキュリティ上の懸念を理由に政府システムでDeepSeekを使うことを禁止しました。また、イタリアは1月に禁止にしています。 DeepSeekアプリがイタリアのAppleとGoogleのアプリストアから消滅、イタリアのデータ保護局が個人データの使用についてDeepSeekに尋ねた直後 – GIGAZINE
DeepSeekはメディアからのコメントの要請に応じませんでした。 アメリカが、中国の特定のアプリを念頭に置いた禁止法を打ち出した前例としては、「外国の敵対勢力が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守る法律」、いわゆる「TikTok禁止法」があります。 アメリカ議会は、中国政府がユーザーデータにアクセスすることを懸念し、まず政府のデバイスでのTikTok使用を禁止してから、TikTokに事業の売却か撤退かを要求するTikTok禁止法を制定しました。 2025年1月に期限が到来しても、TikTokは売却されなかったため、トランプ大統領はアプリの買い手となるアメリカ企業が見つかるまでの期間を延長しました。また、アメリカ政府がTikTokの株式を保有する案も検討されています。 Perplexity AIがTikTokとの合併を模索、アメリカ政府が50%の株式を取得する可能性も – GIGAZINE